縛鎖−bakusa−
 


うそ…

こんなカッコイイ人が私を…?本当に?



私はごくごく普通の見た目だ。

特に可愛くもないしブスでもない。


太っても痩せてもいないし、黒髪ストレートの肩までの髪型はありふれている。



一体、私の何を見て「イイ」と言ってくれたのか……



ふとそんな疑問が湧いてくるけど、喜びが勝り疑問をすぐに覆い隠した。



不安要素よりこれから始まる素敵な恋の予感に胸が一杯。



強い霊感があっても、私だって彼氏が欲しい普通の女子高生だから。




中庭は結構広い。

コの字型の校舎に囲まれて、ぽっかり開いた空間には、

芝生に花壇に噴水までありちょっとした公園だ。



先輩達の座っていたベンチに4人で座るのは無理だし、直射日光が当たって暑いので、

校舎の影が出来ている場所に移動する。



中庭の一角、花壇を囲むコンクリートブロックの上に私と美里が座り、

先輩達二人は向かいの芝生に胡座(アグラ)をかいた。



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