縛鎖−bakusa−
潤一先輩が笑うと白い歯がキラリと光る。
日陰ににいるのに眩しくてまともに顔も見れず、
周囲でランチしている他の生徒達もチラチラと私達を見ているので、尚更恥ずかしい。
手にしたお握りを食べる事も出来ず、私は真っ赤な顔で俯くだけだった。
話せない私の代わりに、美里が潤一先輩に私の事を話して聞かせる。
普段私達はお互いを褒め合ったりしない。
どちらかと言うと、けなし合ってそれでアハハと笑っている様な関係だ。
それなのに今の美里の口からは、ポンポンと褒め言葉だけが飛び出している。
それ以上褒めるとさすがに嘘臭いから…
照れながらも美里を止めようとした時、急に首筋に冷気を感じた。
今は7月。晴天の暑い夏。
氷を付けられたかの様な冷気を感じ、ビクッと肩を震わせると、
耳元には囁く様な声が…
『そいつ…ダメ…ヤラレルヨ…』