縛鎖−bakusa−
ヤラレル…って…何?
座っているのは花壇を囲むコンクリートブロック。
美里とは逆側の左隣を横目で見ると…
見たことのある霊体が座っていた。
彼は…
以前雨の日に美里に触れようとしてきた奴だ。
彼には私が見えている人間だとばれてしまっている。
けれど、あれから見掛ける事はなかったから大丈夫かと思っていたのに…
なんでこんな時に話し掛けてくるんだ。
横目で彼の姿を観察した。
詰め襟の黒い学生服。
衿には…うちの学校の校章バッチが付いている。
うちの学校は詰め襟ではなく、男女共にブレザーなのに何故…
そうか。
彼はきっと制服が変わる前の、十数年前のこの学校の生徒なのか。
学校周囲をさ迷っていると言う事は、学校に関連した心残りがあるのだろう。
つい隣の彼に気を取られてしまった。
今まで真っ赤な顔してモジモジしていた私の態度が一変し、
真顔で誰もいない空間を見たことで不審に思われてしまう。
「千歳?どしたの?」
「えっ…千歳ちゃん、まさか、幽霊がいたとか言わないよね?
俺そっち系ダメなんだ〜
夜トイレ行けなくなるから止めてね〜」