縛鎖−bakusa−
黒い学生服の彼はニィッと笑い、足首の鎖を鳴らした。
ゆっくりと下降し、私に覆い被さるこの男の背中に入り始めた。
足先からゆっくりと…
底無し沼に沈むかの様にズブズブと…
足、腰、胸、首と…音も無く埋まり、
ニイイッと笑う青白い顔が頭の先までずっぽりと潜り込むと…
私の上に乗っているこの男が、急に苦しみだした。
ドタンと大きな音を立ててベットから転がり落ちる。
髪を掻きむしり、着ているTシャツを引き裂き、のたうち回って苦しんでいる。
地の底の亡者の様なおどろおどろしい呻き声。
充血した目が上転し白目を剥く。
口からはブクブクと泡を吐き…
気持ちの悪いこの男は、顔を醜く歪めたまま仰向けの姿勢で横たわり、やがて動かなくなった。
ジャラリとまた鎖の音がした。
背中から入った彼は、出て来る時は腹から出て来た。
鎖の音を響かせてゆっくりと這い出した彼は、
ベットの上の放心状態の私を見て不気味に笑っていた。
「こ…殺したの…?」
苦悶の形相で白目を剥き床に転がるこの男は、死人の様に見えた。