縛鎖−bakusa−
自分と同じ様に私が犯されたと思い込んでいた美里は絶句して、
私の顔をマジマジと見てくる。
自分一人が助かった事が物凄く申し訳なかった。
美里は酷い目にあって、私だけ無事で…
それが心苦しく、目を合わせていられなくなり俯いた。
きっと怒られる。嫌われる。
そんな思いに身を固くしていると、
「良かったー」と言う安堵の声が聞こえた。
顔を上げて美里を見ると笑っていた。
自分の身に起きた事を一旦端に避けて、私の無事を喜び笑ってくれた。
それを見て益々申し訳なさが募る。
我が身の事しか考えられなかった自分が、酷い人間に思えて嫌になる。
自己嫌悪と後悔。
その気持ちを軽くしたくなりつい…謝ってしまった。
「美里、ごめんなさい」
急に立ち上がり深々と頭を下げる私に、美里はまた驚いた。