縛鎖−bakusa−
「何で千歳が謝るの?」
「私…知ってた。
えと…噂で…先輩達が夏休みまでに何人とヤレルか勝負してるって…聞いてた…
でも、その時は信じられなくて…」
それは言わなくていい言葉だった。
美里と友人関係を続けたいのなら。
私の無事を喜んでいた優しい彼女の眉間にシワが寄り、表情が険しくなる。
「何で…言わないのよ…」
「ごめん、美里ごめん、私…」
「酷い。黙ってるなんて酷い。
もしかして千歳が最後までヤラレず逃げれたのは、知ってたからじゃないの?
いつでも逃げられる様に準備していたからじゃないの?」
「違っ…」
「私だけヤラレた。何も知らず…教えて貰えず…
初めては両思いの人とって憧れていたのに…
酷い。あんたなんか…もう友達じゃない」
そうして私は美里を失った。
高校で一番仲の良い友人…
いや、いつでも美里と二人で居たから、彼女を抜かして友人と呼べる人は学校にはいない。
今更後悔しても遅いけど、信じれば良かったと強く思った。
黒い学生服の彼の忠告を…信じれば良かった……
――――――…