縛鎖−bakusa−
 


美里と話しの出来ない学校はつまらない。

お昼を食べるのも一人。帰るのも一人。



私達が喧嘩しているのだと思ったクラスメイトが、私をグループに誘ってくれた。

一緒にお昼を食べようって。



けれど私はそれを断り優しいクラスメイトに頼んだ。

私じゃなく美里を仲間に入れてあげてと。



美里も一人でポツンとお昼を食べていた。

その姿に胸が痛い。



彼女に対して酷い事をした私が、先に居場所を見付ける訳に行かない。



私がどこかのグループに入れば、そこに美里が入れなくなるから。



誘ってくれたクラスメイトは「いいの?」と心配そうに私を見る。



「うん…心配してくれてありがとう。誘ってくれてありがとう。

でも…私が悪いから…

美里を仲間に入れて貰えると助かる」



そう言って私はお握り二個を手に持ち教室を出た。


美里に新しい友人関係が出来る事を祈りながら…





昼休みの廊下は賑わっていた。


購買に向け走る生徒やボールを小脇に抱え体育館に急ぐ生徒。


キャアキャアと騒ぎながら集団でトイレへ向かう女子の集団。



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