縛鎖−bakusa−
 


居ないと思ったが誰かいたらしい。



二人の生きている人影はドア側の壁にくっつく様にして立っているから、

小窓から覗いた時には確認出来なかったのだ。



驚かせた事を一言謝ろうと視線を向けると…



女子生徒は乱れた服装で壁に両手を付き、

男子生徒はその子を後ろから抱え込む姿勢で立っていた。



校内でヤルナ…

そう思いながら男の顔を見てビクリと肩を揺らした。



潤一先輩だった…


二度と見たくないと思っていたその顔。

しかもこんな場面に出くわすなんて最悪だ。



嫌な驚きを隠せない私。

しかし…

潤一先輩の驚きは、私の比ではなかった。



「うわー」とも「ギャー」ともつかない悲鳴が響いた。



叫んだのは潤一先輩。


真っ最中の女子生徒を置き去りに、自分のズボンを上げる事も忘れて、

半分尻を出したまま、こけつまろびつして逃げて行った。



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