縛鎖−bakusa−
「わっ!千歳!?
何?何?びっくりしたー!」
美里の問い掛けに答えられない。
虚ろな視線に光りが灯り、彼は驚いた顔で私を見た。
ヤバイ…
目を合わせてしまった……
『君、見えるのか?
俺の姿が見えてるのか?』
慌てて目を逸らし、濡れたアスファルトに転がる鞄と傘を拾い、
美里に「行こう」と促した。
足早に校門を出る。
そんな私の様子に美里は怪訝そうにしながらも、隣を同じスピードで歩いていた。
「千歳?どうしたの?何かあったの?」
「あー…うん。
美里が後一本足を踏み出していたら、ミミズ踏ん付ける所だったよ。すっごい長くて太いやつ」
「げっ…危っぶなーい!ありがとー!
私ニョロニョロ系超苦手。助かったー。これからは足元見て歩くね」
「そうだね。
後ね…美里、今日右腕ケガしない様に気をつけて」
「へ?何で?」
「…… 今朝、ルリカモネア小早川さんの星座占い、美里の星座は右腕ケガ注意だった」
「ルリカモネア?誰それ?聞いたことない。
千歳ってたまに変な事言うよねー。でも気をつけるよ。右腕ね」