縛鎖−bakusa−
 


振り向かずに歩きながら言う。



「触らないでね。痣が出来るのは嫌」



首筋の×印はやっと消えた。

完全に消えるまで半月は掛かった。

いくら私でも濃い接触は危険だ。



適当な空き教室に入り後ろ手にドアを閉めた。


彼は閉められたドアをすり抜け私の前に立つ。



『ナゼこの教室に入ったんだい?』

薄く笑いながら彼は聞く。



「適当。

さっきの教室から遠い場所を選んだだけ。ここじゃ嫌だった?」



『イヤだけど…イヤじゃない。
話しを聞いて貰うには好都合』



「意味が分かんない」



『この教室は…15年前に俺が首を吊った場所…つまりシニバショ…』



黒い学生服の彼は不気味に笑う。

そして語り始めた。

私がやるべき事を…





――――――…




< 61 / 159 >

この作品をシェア

pagetop