縛鎖−bakusa−
振り向かずに歩きながら言う。
「触らないでね。痣が出来るのは嫌」
首筋の×印はやっと消えた。
完全に消えるまで半月は掛かった。
いくら私でも濃い接触は危険だ。
適当な空き教室に入り後ろ手にドアを閉めた。
彼は閉められたドアをすり抜け私の前に立つ。
『ナゼこの教室に入ったんだい?』
薄く笑いながら彼は聞く。
「適当。
さっきの教室から遠い場所を選んだだけ。ここじゃ嫌だった?」
『イヤだけど…イヤじゃない。
話しを聞いて貰うには好都合』
「意味が分かんない」
『この教室は…15年前に俺が首を吊った場所…つまりシニバショ…』
黒い学生服の彼は不気味に笑う。
そして語り始めた。
私がやるべき事を…
――――――…