縛鎖−bakusa−
そうして彼の精神は後戻り出来ない闇の中に堕ちてしまった。
希望の光はどこにもない。
生きる事に意味を見出だせない。
水谷徹は鎖をジャラジャラと鳴らし、ゆっくりと教室内を歩き回り私に話す。
『今思えば…後悔している。自殺の道を選んだ事を後悔している。
言えば良かったんだ。助けて欲しいって。
親にでも教師にでも全く知らない第三者でも誰でもいい。
一言いえば未来に道は伸びていたはず。
後悔してるよ。
けど…あの時はそうは思えなかった。
絶望の淵で死ぬことしか見えていなかった』
水谷徹はそうして自殺した。
学校の生徒が全員帰宅した後の真っ暗な教室で、
一人首を吊って絶命した。
死に場所を教室に選んだのは、怨む気持ちがあったから。
理不尽な虐めを与えたクラスメイトに知らしめたかった。
自分を殺したのは君達なのだと…