縛鎖−bakusa−
教室の後ろのドアがガラリと開いて、小太りの教師と他に二人の大人が入って来た。
それを視界の端に捉えながら、怯える彼女に視線をぶつけ、更なる恐怖を与える。
「水谷徹は言いました。クヤシイ…と。
彼はまだこの世をさ迷っています。
足に重たい鎖を引きずり、魂は自殺した学校に縛られている。
ノートを返して下さい。次の日曜日、あの教室で待っています。
山本先生、呪いって…信じますか?もし来なかったら……」
恐怖に震える涙目を真っすぐに見据えて、私は口元だけで笑った。
水谷徹が生気のない青白い顔で笑うのを真似して、
不気味にニヤリと笑ってみた。
「ギャーー!!」
悲鳴を上げ、立っていられず彼女は尻餅をついた。
ガタガタと震える体。
私から少しでも離れ様と、尻餅をついた姿勢でズリズリと後ずさる。
用は済んだ。
私を捕らえ様と伸びる大人達の手をかわし、学校の外へと飛び出した。
彼女は来る。絶対に来る。
来ないと……
水谷徹の代わりに私が…殺してしまうかも知れない…
―――――…