縛鎖−bakusa−
どうすれば心に巻き付いた鎖が外れるのかと、悩みながら夏休みに入った。
つまらない夏休み。
中学の時の友人と一度遊ぶ約束をしたが、他にはこれと言った用事はない。
美里とはあれから一度も口をきいていないし、
夏休みに遊ぼうと言える友達は高校には居なかった。
退屈だが家事はやらねばならない。
主婦の様にチラシをチェックして特売品を頭に入れスーパーマーケットに行く。
良く行くスーパーマーケットはチェーン展開していない小型店だ。
品揃えは良くないが、日常の食卓に並ぶ食材はここで賄う事が出来る。
特売品を中心にカゴに食材を数点入れレジに並ぶ。
狭い店内に三つのレジスター。
レジを打つ20代後半位の女性とはすっかり顔なじみだ。
お互いに名前は知らなくても
「いつもお使い偉いわね」とニコニコ笑顔で声を掛けてくれる。
そんな日常のやり取りを済ませ、レジ袋一つを手に下げ店を出た。
真夏の日差しは強烈だ。
アスファルトからはゆらゆらと熱気が立ち上る。