星ふる夜に…
…………。

ああ、保健室か。

数秒時間を置いてから、気付く。
ここ最近、寝つきが悪くて、そのせいで体調くずしたんだった。
いま、何時だろ。
頭重いなあ…。
額に触れると、汗をかいていた。
嫌な汗。
流したいな。部屋に戻ろう。
そういえば、授業、何処から休んだんだっけ?
部屋に行く前にまず、教室か。
ゆっくりと起き上がって立とうとする。

「っっ」

激しい頭痛と目眩が襲い、ドスンっとベッドに逆戻り。
拳でトントン、と額を叩いて再度挑戦する。今度はふらっとしながらも取り敢えず立つことができた。
ベッドを囲うカーテンを開こうとした時、
ガチャ
と、ノブを回す音がして、

「失礼します。門脇さん、具合はどうですか?」

バスとテノールの間の声。
心配そうな、彼の声。
瞬時に誰だがわかってしまった。その声の持ち主が。
音を立てないようにそうっとベッドまで後ずさる。
革靴が床にぶつかるカツカツという音があまり広くない保健室に響く。

どうして?

第2保健室は滅多に使われないはずなのに…。

私の通う学校には保健室が3つある。
応急手当専用の第1保健室は、授業で怪我した人や急に具合が悪くなっ人が行くところ。
第3保健室は、大きくて、泊まることもできる。いわば、小さな病院だ。ここは、寮生活を送る高校生が多く使い、普段は立ち入り禁止。
そして、私の今いる第2保健室。ここは、先生もおらず、ベッドが置いてあるくらいでほぼ倉庫と化している。中学生は立ち入りが許されず、ごく限られた生徒のみが出入りを許されている。

と、いうのも、人それぞれに事情はあるわけで…。4月に提出する健康診断書に親から一筆もらい、学長に受理されない限りは使用できないことになっている。

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