星ふる夜に…
Chap.4 〜 逃避 〜** said:ゆな
結局、あれから私は何もしなかった。教室にも部屋にも戻る気がせず、ベッドに寝転がっていた。
門脇って子と先生は少しの会話をした後、出て行った。
門脇さん、完全に狙ってたな、あれ。
どうして彼は気づかないのだろう?
気付かず、みんなに平等に優しくするのだろう?
いっそ突き放してしまえば、変に期待も出せなくていいんだよ?
「鈍感め…」
ちっと舌打ちしてみる。
行儀悪いっ!て茜に怒られそうだな。
ふふっ。
一人で笑う。
………先生。
私の秘密。
先生を好きだった頃の私。
細木 巧渼(さいき たくみ)。
彼の名前。
私の初恋。
私の黒歴史。
ああ、思い出すだけで目が回る。
別に彼に酷いことをされたわけではない。
彼はなんにも悪くない。
私が逃げただけ。
逃げているだけ…。
さっき、声、かければよかったかな…。