星ふる夜に…
だから、残念ながらまだ1度も拝見できていない。
「早く高校生になりたいな…」
本当は他の学校行きたいけど。
親の職場と学校が同じなんて嫌だし。
図書室に着くと、いつものように司書さんが
「いらっしゃーい」
と振り返る。
そして、来たのがわたしだと見ると
「あ、ちょうどよかった」
そう、にっこり笑って手招きする。
う…嫌な予感。
「私、これから用事があるの。ちょっとここの整理頼めるー?」
柔らかい笑顔でそう言った。
予感的中…。
そう思いながら、上品な花の香りのする彼女の側へよると
「先生…これ、全部っすか…」
まさに山と積まれた本達が散乱していた。
「ほら、もうすぐ春休みでしょ?だから、今まで借りっぱなしだった子たちが一斉に返却に来てねー。流石にこんなにあるとは思わなかったんだけど…。半分は私が片付けたんだけど、返却確認の印付けながらだと、意外と終わらなくって」
おしゃべりの好きな司書さんは、相変わらずいつものペース。
「個人の用事ならともかく、会議なのよねー」
「会議?」
「うん、そう、会議。だからね、代役を探していたのよ。でもほら、棚にも戻さなきゃいけないから、ここの事よくわかっている人じゃないと」
まぁ、それはそうでしょう。
この膨大な量。何もわかっていない人がやっていたら3日はかかりそうだ。
「て、ことでユウナちゃん、よろしく」
いや、星飛ばして言われても…。
これ全部一人でってきついかも。
という私の声が聞こえたのか
「まぁ、助っ人は読んでおいたから〜。たぶん、1時間後くらいにはくるんじゃないかしら?」
「そうですか」
ほっと胸を撫で下ろす。
「じゃあ、悪いけど、よろしくね?鍵、ここだから」
そういうと、風の如く去って行った。
司書も暇じゃなさそうだね…。
にしても、貧乏くじ。
いや、まぁ、本は好きだけど。
仕方なく、私は整理を始めた。