妖精デジタるーと
渦に吸い込まれて案の定音色は気を失った。


「契約していいか?」


「それはまだ遠慮してください」


「猫?吸血鬼?」

起きて早々気になっていた事を問いかけてみた。

「よくわかりましたね、猫型吸血鬼です」

スーツ姿の男の声が、視界に見えない所で聞こえた。

「トラえもんみたい…」

「なんだそれ。
それよりな、お前は契約しねーといけねーんだ、」


「可愛い…」

寝っ転がている音色の顔の上を飛ぶ猫型ロボッ…じゃなくて猫型吸血鬼がいる。

目が丸くて可愛いのに、凄く口の悪い猫だ。

「か、可愛いとか言わない…で…」


きっとこの猫はツンデレなんだ。

褒められると弱いんだろう。

「契約ってなに」


「あなたは選ばれたのです。
魔界に携わる吸血鬼の掟に…普通の人間にはヘルメンさんを見る事など出来ません。
人間界と魔界の者が生存を共にする、これは代々伝わってきた血筋の同じ人間にしか備わっていないものなのです」



「はい?」

「あなたは猫型吸血鬼のヘルメンさんと私奏斗と共に生きる使命を人間界でくだったんです。」


音色には奏斗が言った事が、さっぱり理解出来なかった。


「だから簡単に言うと俺ら3人は魔界と人間界を結ぶ偉い奴とルートに選ばれたんだ。
お前の先祖たちは全員俺みたいな吸血鬼が見えてたって事、それと共に生きなければ酷い仕打ちがくだるんだ」


「酷い仕打ちって?」


「俺ら全員この世からもあの世からも消えるって聞いた」


ぼーっとした頭で考えたがなんとなくしかわからなかった。

「これで母さんに紹介出来るぜ」


「良かったですね、ヘルメンさん」

「ちょっと待ったーー!!!!!!
私はあんた達とずっと一緒に居なきゃいけないって事!?」


「んまぁ、お前が俺らの事見えちゃったからには仕方ねーな」


「…でももうしょうがないですね、契約しないと死んじゃうんで」


どっちもしょうがないで済まされた。
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