Midnight Day

私が担当になっていた、午前の仕事が終わった。
お化けの衣装から制服に着替え、教室を出るとそこには月夜が立っていた。


「月夜!お待たせ!」


「おう。」


「私のクラスのお化け屋敷、どうだった?」


「…。」


「…。」


月夜は無言で“あんなのが怖いと思うか”と訴えていた。
なぜそんなことわかったかと聞かれたら、答えようがないけれど、月夜のことだからこう思っているのだろうと。


「…死神からしたら怖くも何ともないよね…。」


ははっと若干の落ち込みを含み、笑った。


「俺は全く怖くなかった。
でも、普通の人間なら個人差はあるだろうが、少なからず怖いと思ったと思うぞ。
だから、今までの準備はきちんと報われてると思うぞ。」


それって…!


「じゃあ、このお化け屋敷は成功ってこと?」


「ああ。
優勝、出来るといいな。」


「うん!!」


月夜は怖がってくれなかったけど、それでも月夜にそう言ってもらえて嬉しかった。

ここからは、他のクラスの出し物を回って、月夜と思い出を作らなきゃ。
…最後の思い出を月夜とたくさん作らなきゃ…。


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