Midnight Day


「お兄さんと一緒に回ってたんだな。」


「あ、うん。
お兄ちゃん、もうすぐこの街出るみたいで、最後の思い出にどうかなって思って、私が誘ったの。」


差し障りのない程度で話した。
簡単に言えば、こんな感じだ。


「そうなんだ。
岩本はお兄さんのこと大好きなんだな。」


「…そんなことないよ。」


好き……か。

この言葉が胸にやけに刺さった。


「さて、どこ回ろうか?」


「ヨーヨー釣りしたい!」


「即答かよ」


佑斗は即答した私に苦笑しつつも、
“行こうか”と言ってくれた。


楽しまなきゃ。
最期の思い出を残すために。


全力で。


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