Midnight Day
男の腕をねじり上げている人の顔を見ると、その人は月夜だった。
「てめぇ、人の女に何しようとしてんだ?」
「んだよ、男連れか。」
ストーカー男は月夜の手を振り払うと、そのまま去っていった。
「ない…と。」
月夜が男を追っ払ってくれたおかげで、身体の力が一気に抜け、その場にしゃがみ込んでしまった。
私……。
自分では気づかなかったけれど、かなり怖かったんだ。
だってこんなにも震えて…。
「…月夜…、ごめんね。
そして助けてくれてありが…」
最後まで言葉を紡げなかったのは、月夜に強く抱きしめられたから。
私たちの様子を周りの人はさっきよりもしっかり見ながら去っていく。
私は恥ずかしさと苦しさで月夜の背中を軽く叩いた。
「……月夜?苦し…っ」
「…ごめん。
ガキみたいなこと言って。
しかも、夢希にこんな怖い思いをさせちまって。」
月夜の掠れた声が、私の耳元で響いた。