過保護な妖執事と同居しています!
「お腹すいちゃった。お弁当にしよう」
「はい」
私は岩の上に座ってリュックの中からお弁当と水筒を取り出した。ザクロも隣に座り、お弁当の包みをほどく。
一緒に食べようと思っていたので、昨日の帰りにスーパーで買ってきた紙のお弁当箱に、二人分のお弁当を作ってもらった。
折り詰めはふたつ。ひとつはおにぎりで、もうひとつはおかずが入っている。
ぎっしり並んだ俵むすびの具は様々で、何が入っているかはお楽しみということらしい。私はあえて真ん中のおにぎりをチョイスする。一口食べて中身を確認した。
「私の梅だった。ザクロは?」
「鮭です」
なんか楽しい。
おかずはザクロが得意な和食と私がリクエストした定番おかずが並んでいた。
人参、ごぼう、椎茸、筍の筑前煮にほうれん草のゴマ和え、タコさんウインナーに卵焼きと鶏の唐揚げ。そして我が家の行楽弁当には欠かせない缶詰のさくらんぼが入っている。
さくらんぼはあえて仕切りなしでおかずのあちこちに散らしてもらった。その結果を自分の目で確かめるため、さくらんぼの載っていた卵焼きを箸でつまむ。
卵焼きにはさくらんぼの赤い色が丸く染み着いていた。
「これこれ。遠足のお弁当っていつもこうなってたの。懐かしー」
「その方がおいしいんですか?」
ザクロが筑前煮をつまみながら、不思議そうに尋ねる。
「いやぁ、逆においしくなくなるんだけど、なんか遠足のお弁当はこうじゃないとって感じで」
ザクロは益々不思議そうにきょとんとした。
その後のおにぎりくじは、ランダムに選んだ私が三回連続で梅を引き当てたのに対して、端から順番に攻めていったザクロは次々に違う具を堪能する結果となった。でもザクロは梅だけ食べられなかったけどね。