過保護な妖執事と同居しています!
お弁当を食べ終わって、熱いお茶をすすりながらザクロが申し訳なさそうに言う。
「私の方がおにぎりを堪能してしまってすみません」
「そんなのいいよ。私、梅のおにぎり好きだし」
実は私がそう言ったから、梅のおにぎりの数が他より多かったらしい。ということは、ザクロの気遣いはみごとに成功していたというわけだ。
お弁当の後片付けをすませたザクロが、荷物の中からブランケットを取り出して私の肩にかける。
「寒いでしょう?」
「そうでもないかも。熱いお茶飲んでるし」
正月に来たときは顔が凍りそうなほど寒かったけど、梅が咲くほど春が近いせいか、風も穏やかでそれほど寒くはない。
それでもザクロは心配そうに私の頬に手を当てた。
「顔が冷たくなってます。お茶を飲み終わったらすぐに山を降りましょう」
そんなに心配しなくても、しっかり着込んできたし、ブランケットも掛けてもらったし、大丈夫なのに。
貴重なザクロとの屋外デートが終わってしまうのが寂しくて、私は駄々をこねた。
「まだ大丈夫だから、もう少しここにいたい」
ザクロは困ったように少しの間私を見つめていたが、おもむろに横から私を抱きしめた。
「では頼子が風邪を引かないように、私が温めます」