過保護な妖執事と同居しています!
暖かいどころか、ドキドキしちゃってちょっと暑いくらいなんですけど。
ザクロの顔がすぐそばにあるのがなんだか落ち着かなくて、私は自然と俯いた。
ドキドキするけどザクロの温もりは安心して幸せな気持ちにさせてくれる。私は黙ってそのまま温かい幸せに浸った。
少ししてザクロが耳元で囁いた。
「頼子、一度だけあなたに触れることをお許しください」
へ? すでに何度も触れてると思うけど?
意味がわからず顔を上げてザクロの方を向いたとき、彼の唇が私の唇に重なった。
ほんの一瞬、本当に軽く触れるだけの口づけ。
ザクロはすぐに私から離れて立ち上がった。
想像もしていなかった事態に、私の頭の中は真っ白で体は硬直して動かない。
ザクロに手を引かれ、ようやく我を取り戻した私は立ち上がった。
「行きましょう。日が傾いてきたらもっと寒くなります」
「……うん」
あまりにも普段通りなザクロに、少し違和感を覚えながらも、私は来たときと同じようにリュックを背負ってザクロの背中に負ぶさる。
ザクロが岩から飛び立ったと同時に私は目を閉じた。
少ししてザクロが降り立ったのがわかった。目を開いて背中から下ろされた私はあたりを見回す。
あれ? 林の中じゃない。
目の前には天を突くほどの大きな木に挟まれて、石造りの鳥居が立っていた。