過保護な妖執事と同居しています!
18.一蓮托生
「清司、やめて!」
私の悲痛な叫びにも動じることなく、清司はいつもの調子でのんびりと答えた。
「オレは神に仕える身だからなぁ。神の命令は絶対なんだ。ザクロが神に願ったことだ。神は願いを聞くのが仕事だから」
「私がやめてって願ったら聞いてもらえるの?」
光明が見えた気がしたのに、清司は冷たく一蹴する。
「無理。一度受理された願いは願った本人以外に撤回できない。もっともただで撤回もできないけどな。神は代償なしで働かないものなんだ」
神様ってギブアンドテイクなの? なんか腑に落ちない。私は眉をひそめて指摘する。
「それじゃ神社で気軽にお願いなんてできないじゃない」
「いやぁ、そういうのは全然大丈夫。そいつの交わしたのはただのお願いじゃなくて正式な誓約。神との誓約を違(たが)えたら手痛い罰を食らうんだ。オレもこれに縛られてるから、うちの神様には逆らえない」
なるほど。ザクロは神社でお賽銭払ってお参りしたわけじゃなく、神様に直接お願いしたということらしい。
妖怪のザクロは人ならざるものとも交流できるということか。でも私にはどうすれば神様に直接お願いできるのかわからない。
途方に暮れる私に、清司は今度こそ光明を与えた。
「何かを失ってでも撤回を望むなら、おまえがザクロを説得しろ。ただし、何かを失うのはザクロだ」