過保護な妖執事と同居しています!
「ザクロ。よかった」
「頼子、もう泣かないでください」
「だって嬉しいんだもの。バカね。ザクロがいない世界で私が幸せになれるわけないじゃない。こんなにザクロが好きなのに。知ってたでしょ?」
「はい。だから離れるべきだと判断しました。私では頼子を幸せにできないからです」
それ、何度も聞いたけど、なんでそんなに卑下してるんだろう。
「どうしてそう思うの?」
「好いた人と夫婦(めおと)になって子を成し成長を見守ることが女の幸せだと以前の主に伺いました。私が人との間に子を成すことができるかどうかはわかりませんし、法律上私は夫婦になることができません」
「法律上って……」
いったいどこからそんな情報を仕入れたの。テレビの法律相談番組あたりだろうか。
「そんな二百年も前の女が言ってること真に受けないでよ。幸せなんて人それぞれなんだから」
「頼子の幸せはなんですか?」
「ずっと、一生、ザクロがそばにいてくれること」
「かしこまりました。頼子を一生幸せにいたします」
ザクロは腕をほどき、一歩さがって恭しく頭を下げた。
顔を上げたザクロと笑みを交わし合う。そこへ清司が少女を伴ってこちらにやってきた。