過保護な妖執事と同居しています!


 私はザクロの頬に手を当てて、紅い瞳を覗き込んだ。


「話すの忘れててごめんね。本郷さんの話は断ったの。彼も納得してくれたからザクロが心配するようなことは何もないわ。だって私が好きなのはザクロなんだもの」
「頼子……」


 嬉しそうに微笑んで、ザクロは私を抱きしめる。私もザクロを抱きしめ返した。
 これで心置きなく東京に行けると安堵しかけた時、ザクロが耳元で囁いた。


「やはり一瞬たりとも離れていたくありません。私も一緒に行きます」
「え……」


 なんか煽っちゃった?

 私が苦笑に顔を引きつらせていると、ザクロは一旦体を離して懇願するように私を覗き込んだ。


「ダメですか?」
「……私が声をかけるまで姿を消していてくれるなら、いいよ」
「はい、かしこまりました」


 ザクロは一層嬉しそうに微笑んで、再び私を抱きしめる。そして素早く口づけた。

 うー。やっぱりこの笑顔には勝てない。ついつい甘やかしてしまう。でも私もザクロに生活の何もかもを依存して甘やかされているからお互い様だけど。

 徐々に激しくなっていくキスに翻弄されながら、出張の日は金曜日だから、どうせなら一泊して翌日ザクロと東京観光もいいな、とか考えが浮かぶ。

 故郷の様変わりでさえ驚いていたから、東京の人混みを見たらザクロはびっくりするんじゃないだろうか。それを想像すると今からおかしい。

 あぁ、だけど、今はもうそんなことこれ以上考えられない。
 私はザクロの首に両腕を回してキスに応える。そして甘いひとときに酔いしれた。



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 最後まで読んで頂いてありがとうございます。

 本郷のその後が気になる方(もしもいらっしゃいましたら)「壁ドン」短編「だから、キスして」をぜひごらんください。



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