過保護な妖執事と同居しています!
清司が立ち去った後、私も荷物を袋に詰めてスーパーを出る。
家に向かって歩きながら、人影が途絶えた途端にザクロが問いかけてきた。
「ずいぶん親しそうでしたが、先ほどの男性も以前頼子と恋仲だったんですか?」
ザクロにしてはとげのある言い方に、私は少し苦笑する。理由はわからないが、よほど清司が気に入らないらしい。
「そんなんじゃないわ。学生時代に清司と、もうひとりの友達と三人でよく食べ歩いてたの。それにあいつ、大学を卒業して一年後にできちゃった結婚したから、今四歳の子供がいるのよ」
「そうですか」
一応納得したようだが、ザクロはまだ硬い表情をしている。
「清司が嫌いなの?」
「……好きとか嫌いとかではありません。彼は危険です」
「へ?」
あんないい加減で適当な奴のどこが危険なのか不思議でしょうがない。
面食らっている私に、ザクロは硬い表情のまま告げた。
「彼には私と頼子の絆を断ち切る能力があります。主以外で私の姿が見える人間は、少なからずそういう能力を持っているんです。ましてや彼は神職。神に近しいところにいます。能力を自在に操れると考えるのが妥当です」
それで警戒して敵意を露わにしていたのか。
そういえば昔から清司は、幽霊とかが見える人だった。いつだったか食べ歩き仲間の蒼太が、怪しげな勾玉をお祓いしてもらったとも聞く。
「ちなみに、私とザクロの絆が切れたらどうなるの?」
「私は再び眠りにつくしかありません」
死んだり消滅したりするわけではないようだ。けれどせっかく数百年ぶりに目覚めたのに、またすぐ眠ってしまうのはおもしろくないだろう。
すねたような様子で目を伏せてうつむくザクロがなんだかかわいい。私は思わずクスリと笑う。
「大丈夫よ。清司には手出しさせないから。私が守ってあげる。だってザクロは私をイヤな目に遭わせたりはしないでしょう?」
「はい」