過保護な妖執事と同居しています!
6.使えない新人と気配り上司
「頼子、私を目覚めさせてくれて、ありがとうございます」
ザクロがキラキラ笑顔で私に礼を言う。
いや、そんな、改めて言われなくても、おかげさまで私もすっかり頼りにしてるし。
「ずっと一緒にいてもいいですか?」
「うん」
だって、私が死ぬまで離れられないんでしょ?
「では、私と夫婦(めおと)になってください」
「は?」
なに? いきなりどうしちゃったの?
いや、そりゃあ、ザクロのこと嫌いじゃないけど、まずは恋人から……って、そういう問題じゃなくて。
すっかりパニックを起こした私を、ザクロはいきなり抱きしめた。
「頼子、愛しています」
近づいてくるザクロの顔を正視できず、私はぎゅっと目を閉じる。
ちょっと、困るーっ!
「頼子」
「や、ちょっと……」
ザクロの身体を突き放そうと、突っ張った腕が布団を跳ね上げた。
あれ?
目を開くと私はベッドの上に寝ていた。目の前ではザクロが不思議そうに私を覗き込んでいる。
「どうかしましたか?」
「あ……」
夢……か……。
私はため息と共に体を起こし、曖昧な笑みを浮かべた。
「なんでもないの。ちょっと変な夢見ちゃったから」
「そうですか」
それ以上追及することなく、ザクロはあっさり引き下がる。いや、追及されても困るけど。
「朝食の準備が整っています」
「ありがとう」
いつものように私が食卓に着くと、ザクロが熱いお茶を淹れて差し出してくれる。
先ほどの夢を思い出して、なんだか気まずい私はザクロと目を合わせられずにいた。