過保護な妖執事と同居しています!


 どうしてあんな夢を見ちゃったんだろう。

 ザクロと一緒にいたら結婚できないことはわかっている。
 だからといってザクロが見えなくなるほど、彼の存在を無視するなんてできない。

 ザクロに依存しないということは、彼が私のためにしてくれることすべてを拒絶するということだ。

 拒絶したらザクロはどう思うだろう。この間見た寂しそうな顔が目に浮かぶ。
 あんな顔見たくない。

 だからなのかな? いっそザクロと結婚しちゃえばいいじゃない。そう思ってるってこと?

 いやいやいや、いくらなんでもそれは短絡的すぎるというか……。

 そもそも私ひとりで、どうこうできることじゃないし。どっちにしろザクロの意思を無視してる時点で破綻している。

 あれは夢! 美形執事とお嬢様のラブラブ妄想が見せた幻なのよ。 私は茶碗を手に取り、豆ごはんを口に運ぶ。


「あ、これおいしい。豆がグリーンピースじゃなくて枝豆なのね。ひじきとよく合ってる」
「ありがとうございます。今は旬じゃない野菜も容易く手に入るので助かります」


 料理を誉めるとザクロは嬉しそうに笑う。やっぱりこの笑顔を見る方がいい。
 依存したっていいじゃない。それでザクロが幸せそうに笑っていられるなら。



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