過保護な妖執事と同居しています!
それから食事をしながら、ザクロが見たテレビの話を聞いたり、会社の話をしたりした。
そして前から気になっていたことを私はザクロに尋ねた。
「ねぇ、ザクロって昔からよく料理とかしてたの?」
「いいえ。ほとんどしませんでした。以前の主からは求められていませんでしたので」
「へ? 以前の主ってなにを求めてたの?」
「だいたいは、望む姿でそこにいればよかったんです」
うーん。よくわからない。ザクロを観賞してたんだろうか。確かに自分好みの男前なら、見とれてしまうのかもしれないけど。私も時々ザクロに見とれるし。
「頼子は特別です。頼子のような主は初めてです」
どういう意味なんだろう。ちょっと微妙。
少し笑顔をひきつらせる私を、ザクロは穏やかな笑みを浮かべて眩しそうに見つめた。
「頼子との絆が終わりの時を迎えても、私は頼子のことを忘れないと思います」
やばっ! またきゅんとしちゃった。
どうしてそういうことを、サラリと臆面もなく言っちゃうのかなぁ。誤解しそうになるじゃない。
ザクロは私の生気を糧として生きる妖怪。私を喜ばせるのは、その方が生きる糧を多く得られるからなのに。私の心を揺らす感情と、妖怪の行動原理とは一緒じゃない。
私が冷静さを取り戻したとき、キッチンでオーブンレンジのアラームが鳴った。それを聞いてザクロは席を立つ。
「次の料理をお持ちしますね」
そう言って空いた皿をまとめてキッチンに向かった。