過保護な妖執事と同居しています!
うわぁ。うわぁ。うわぁ。マジでうわぁ。ウソみたいに仕事がはかどってる。
昨日の本郷さんの助言に従って、先回りするようにしたらこんなことになって私が一番驚いている。
今までは仕事を頼んで「できたら知らせて」と言って待っていたのだ。けれど坂井くんはできても報告してくれない。しびれを切らして「どうなったの?」と聞いて始めて「できてます」だった。
無駄にしている時間が多すぎた。とはいえ、今まで放置していたので、彼がどのくらいでできるのかもわかっていない。最初は自分のペースでこちらから声をかけてみた。そして案外早いこともわかった。
おのれ。今までさっさと片付けてさぼってたのね。どうりで毎日早く帰れるはずだ。
こちらから進捗を確認することで、次々に仕事が回せるので、いつもの倍速で片付いている。今日は私も早く帰れそうだ。本郷さんに感謝しなくちゃ。
サクサクと仕事が片付いたので、坂井くんは余裕で定時退社し、私もいつもより二時間は早く帰り支度を始めた。
荷物をまとめて本郷さんに頭を下げる。
「昨日はアドバイスありがとうございました。おかげで仕事が早く片付きました」
「そうか。今日はゆっくり休め。お疲れ」
「はい。失礼します」
挨拶をして私は会社を出た。外で待っていたザクロと一緒に駅に向かって歩く。後ろからザクロが驚いたように話しかけてきた。
「今日はいつもより早いお帰りですね」
「うん」
今日は時間が早いので、駅に向かう道は人が大勢歩いている。私は鞄から電話を取り出して、耳に当てた。
「仕事が早く済んだの。もしかして、ごはんの支度できてない?」
「いいえ。ほとんど整っています」
「よかった」