過保護な妖執事と同居しています!


 一段落ついてホッとした途端、先ほどのことに違和感を覚えた。坂井くんはどうしてザクロが見えたんだろう。

 店を出たときからザクロはいたのに、気がついたのはさっきザクロに声をかけられたときだったようだ。

 清司のように霊感があるなら最初から見えているはずだ。坂井くんに霊感がないとしたら、原因はザクロの方だ。


「ねぇ。もしかして、今ザクロの姿は周りの人に見えてるの?」
「はい」


 やっぱり。そんな技を持ってるとは知らなかった。

 ということは、本郷さんにも見えていたということか。でも居酒屋に行ったとき、本郷さんは見えてたみたいだけど、一緒にいた坂井くんは見えてなかったような気がする。もしかして——。


「それって特定の人だけに見えるようにとかもできるの?」
「はい」


 にこにこしながら平然と答えるザクロに、私は一気に脱力する。


「そんなことできるなら、どうして今まで黙ってたのよ」


 買い物荷物を持ってもらえたのに。


「一般の人に姿が見えるようにするには、より多くの気力を必要とします。頼子に負担がかかるので、あまりしないようにしていたんです。私の力の源は頼子の生気ですから」
「じゃあ、なんで今は姿を見せたの?」
「彼が頼子の心の健康を害するおそれがあったからです」
「そう……」


 相変わらず過剰反応をしているようだ。私が動揺しすぎるからいけないのかもしれないけど。

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