過保護な妖執事と同居しています!
いつものごとく、そばに立ってにこにこしているザクロに、私はケーキの載ったフォークを掲げて尋ねる。
「ザクロも食べる?」
「頂けるのなら喜んで」
ちょっといたずら心が湧いてきて、私はそのままフォークを差し出した。
「はい。あーん」
「あーん」
え、マジ?
ザクロはにこにこしながら少し身を屈めて、ためらいもなく口を開いた。私の方が少しドギマギしながら口の中にケーキを突っ込む。
体を起こしてケーキをもぐもぐしているザクロを私は呆気にとられて見つめた。妖怪だから照れくさくないんだろうか。
ケーキを飲み込んだザクロが、何食わぬ顔で頭を下げた。
「ごちそうさまでした。人に食べさせてもらったのはずいぶんと久しぶりです」
「え? 昔、食べさせてもらったことあるの?」
「子供の姿になっていた時です」
あぁ、そういうことか。びっくりした。
私は残りのケーキを平らげて、紅茶を飲む。
週末の夜、これから何をしてすごそう。テレビを見たり本を読んだり、やりたいことは色々あるけど、今日はザクロと一緒にすごしたい。
「ザクロ、一緒に少しお酒を飲まない?」
「はい」
飲み会ではあまり飲まなかったし、去年買った日本酒がまだ少し残っていたはずだからちょうどいい。
ザクロとゆっくり話がしたかった。
「酒の肴は何にしますか?」
「うーん。食べるのはしっかり食べてきたから、キュウリのぬか漬けでいい」
「かしこまりました」
ザクロが空いた食器を片付けている間に、私は折り畳み式のテーブルと座布団を用意する。少ししてザクロが戻ってきた。