過保護な妖執事と同居しています!
「本郷さん、本当にごめんなさい。私の知らない間にザクロが迷惑かけたみたいで」
あぁ、アレを海棠が知ったのか。
あれ以来、オレは海棠からは少し距離を置いていたからか、この男は何も手出ししなかった。気にはなっていたが、海棠の様子も変わらなかったので、当時ほど激しく不安には思っていない。
二人のつむじを見下ろしながら、オレは苦笑をこぼした。
「いや、こうやって謝りに来てくれたんだから、もういいよ」
「ありがとうございます」
さらに深々と頭を下げたあと、海棠は顔を上げてオレを上目遣いに窺う。
「ついでに、ひとつお願いがあるんですが……」
「なんだ?」
「ザクロが変な力を使うこと、内緒にしてて欲しいんです。えーと、それで子供の頃いじめられてたので……」
「あぁ、そういうことか。誰にも言うつもりはないよ」
言ったところで、誰も信じないだろう。オレの精神状態の方が疑われるだけだ。
「ありがとうございます。じゃあ、私たちはこれで失礼します。わざわざありがとうございました」
ホッとしたようにもう一度礼を言って、海棠と赤毛の男は帰って行った。 海棠の話が本当だとすると、あいつは一応人間だということか。妙な超能力を持ってるみたいだが。
人だとわかった途端、当初の不安が頭をもたげる。海棠はあいつのことをどう思っているんだろう。
親しげに会話しながら遠ざかっていく二人の後ろ姿を眺めつつ、ふと思った。
従兄同士って結婚できるんだよな。