過保護な妖執事と同居しています!
「頼子、ちょっと来い」
そう言って清司は私の腕を引っ張りながらズンズンと歩いて行く。
「え? あ、ちょっと」
私は振り返ってザクロを見た。坂井くんの時みたいに怒るのかと思ったが、ザクロは無表情でこちらを見ている。昨日叱られたから過剰反応するのを控えてるのだろうか。
「ザクロ、ちょっとごめん。すぐ戻るからそこで待ってて」
「はい」
返事をしてザクロは、買い物荷物を袋に詰め始めた。以前は激しく警戒していたのに、あまりに素直な反応に拍子抜けする。
そして私は清司に引きずられるようにして店の外へ連れ出された。
外に出た途端、清司は私の腕を放していきなり怒鳴りつけた。
「どういうつもりだよ、ひとの忠告無視しやがって! 実体化しちまってるじゃねーか。依存しすぎるなって言っただろう!」
いい加減で適当でいつもはテンション低い清司が、こんなに怒ってるのは初めて見た。少したじろぎながら、私は言い訳をする。
「いつもは見えなくなってるのよ。今日はちょっと事情があって実体化してるだけで……」
「元々はできなかったのに、実体化するようになったんだろう?」
「あ、うん」
元々できなかったかどうかはわからないけど、言われてみればその通りだ。
「あいつは宿主に依存させて力を得るって言っただろう。おまえの依存度が高まれば、あいつ自身の力が増大するんだ」
「それって何かまずいの? 力が増したら余分に生気を取られるとか?」
「いや、ターボかかってるみたいなもんだから、少ない生気で力を発揮できる」
「じゃあ、その方がいいじゃない」
私が笑って話を終わらせようとすると、清司は真顔で付け加えた。