過保護な妖執事と同居しています!
「絆が強固になって固定しちまったら、おまえの言うこと聞かなくなるぞ。その時になっておまえが愛想尽かしたくらいじゃ、あいつの力はなくならない。あいつが人に害をなす存在になっても、おまえには止められないってことだ。あいつは妖怪だ。人とは考え方や価値観が違う。今のうちに距離を置け。でないと……」
「ザクロは違う!」
清司の言葉を遮って、私は叫んでいた。これ以上聞いていられない。
「ザクロは絶対人を傷つけないって私と約束したもの!」
「それでも距離を置け! おまえあいつと一生添い遂げるつもりか!?」
「そのつもりよ! ザクロのいない生活なんて、もう考えられないもの」
清司は驚愕に目を見開いて、一瞬絶句する。そしておずおずと問いかけてきた。
「頼子、おまえまさか……」
「私、ザクロが好きなの」
「あいつは妖怪だぞ!」
「それでも、ザクロが私の望む姿を演じてるだけだとしても、ずっと一緒にいられるだけで幸せだって思えるほど好きなの!」
言っちゃった。でも本当のことだもの。
清司が心配してくれているのはわかるし、ありがたいと思う。けれどザクロがいないのに、私が幸せになれるとは思えない。
清司はあきらめたように目を伏せて、大きくため息をついた。
「わかった。おまえがそれでいいなら、もう何も言わない。だが、あいつのことで何か困ったことになったら連絡してくれ。いつでも力になる」
背を向けて立ち去ろうとする清司に私は声をかける。
「あの、清司って私とザクロの絆を断ち切ることができるの?」
以前ザクロが心配していた。霊感があるのは知っていたけど、そんな技まで持ってるのかは知らない。
清司はいつものようにのんびりと気怠げに答えた。
「んー。あいつがおまえに制御できないほど強力になってからだと、どうかわからないけどな。なにしろオレ、未熟者だって毎日罵られてるくらいだし。ま、その時は善処する」
そう言って清司は、ヒラヒラと手を振りながら駐車場の方に歩いていった。