過保護な妖執事と同居しています!
15.ターニングポイント



 スーパーから帰って私が着替えている間に、ザクロは夕食の準備を始めた。あらかじめ下ごしらえはしてあったようで、キッチンからは何かを炒めているジュージューという音が聞こえる。

 私が化粧を落とし着替え終わったのを見計らったかのように、ザクロが夕食の載ったトレーを持ってやってきた。


「野菜が少しずつ色々余っていたので、頼子が教えてくれた野菜炒めとスープを作ってみました」


 教えたというと大仰だが、たまにしか自炊をしない私の横着レシピだ。たまにしかしないので、冷蔵庫の中に野菜の残りが蓄積されていく。けれど捨ててしまうのはもったいないので、冷蔵庫の在庫一掃するために作るのだ。

 野菜の残りを適当に刻んで、細切れ肉と一緒に焼き肉のタレをぶっかけて炒めるだけ。人参や大根などの根菜類は乱切りにしてコンソメスープの素と一緒に煮込むだけ。お好みで黒コショウを少々。

 スープの方は白菜やキャベツが入ることもある。たまに皮をむいたブロッコリーの茎の部分も。ようするにあるものをなんでも放り込んで炒めるか煮込むかというしろものだ。

 ザクロの作った野菜炒めの具は、人参、ピーマン、キャベツ、しいたけ、もやしと豚肉。スープは、人参、ごぼう、マッシュルームとベーコンに黒コショウ。刻みパセリが散らしてあって、ちょっと品がある。

 一緒に並んだ茶碗には、椎茸とごぼうの炊き込みご飯に刻んだ大葉としらすが載っていて、トレーの隅にはキュウリのぬか漬けが添えられていた。


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