過保護な妖執事と同居しています!
いつもより早めに仕事を終えて、私は本郷さんと外で落ち合った。会社の人に見つかって噂になったりするのを、私が嫌がっていることを考慮してくれたのだろう。
近場では知り合いに出会う可能性が高い。本郷さんはわざわざタクシーで郊外の高台にあるレストランに連れて行ってくれた。
そこはフレンチ風創作料理の店で、以前の彼とクリスマスディナーを頂いた店のように格式張った感じはない。
柔らかな暖色の照明に照らされた店内には、静かなジャズが流れていて落ち着いた大人の雰囲気を醸し出していた。
本郷さんが名前を告げて通された窓際の席からは、町の夜景が一望できる。
食前酒に白のスパークリングワインが入ったグラスが運ばれてきて、私たちはグラスの縁を軽く鳴らして乾杯した。
次々と運ばれてくるコース料理に舌鼓を打ちながら、本郷さんの好きなサッカーの話や職場での笑い話など私たちは他愛のない会話を続ける。
話があると言った割に本郷さんは切り出してこなかった。私も追及したりはしない。
もしも私の勘違いじゃなくて、本郷さんの告白なんか先に聞いてしまったらお互い気まずいことは間違いない。
勘違いだったとしても、誰にも内緒な仕事の話だったりしたら、やっぱりごはんがまずくなりそうだ。食事は楽しくおいしく頂かないとね。