過保護な妖執事と同居しています!
楽しくおいしくデザートのケーキを食べ終わって、コーヒーで一息ついているとき、とうとう本郷さんが切り出した。
「海棠、単刀直入に言う。結婚を前提として、オレとつき合ってくれないか?」
いきなり単刀直入すぎる。思わずコーヒーにむせそうになっていると、本郷さんが付け加えた。
「返事は今じゃなくていい。じっくり考えて結論を出してくれ」
「わかりました」
やはり勘違いではなかったか。でもなんで私なんだろう。本郷さんはたまにOA機器の内覧会をセッティングしたりしてるから、きれいなキャンペーンガールとかにも顔見知りがいたりするのに。
それが気になったので尋ねた。本郷さんは少し照れくさそうに笑いながら言う。
「昔から一生懸命なとこかな。仕事に対して真面目で責任感が強くて、真剣に取り組んでいることがよくわかる。それにおまえの何か食ってる姿が好きなんだ。すごく幸せそうで」
「え……」
ザクロと同じこと言ってる。そういえば、前の彼も私が不機嫌になると食べ物で機嫌を取ってた気がする。
私って、どんだけ食べることを生き甲斐にしてるんだろう。
私が苦笑に顔を歪めていると、本郷さんは取り繕うように付け加えた。
「せっかく食事に誘ってもダイエットだとか言って食事を残す女の子いるじゃないか。スタイルとか気になるのはわかるんだが、オレはどうもあれが苦手でな。おまえみたいに嬉しそうに完食してくれる方が、誘った甲斐がある」
だって残したらもったいないし、作ってくれた人にも悪いし、食材になった生き物の命を頂いてるわけだし。今日も残さずきれいに頂きました。おいしかった。
私がコーヒーを飲み終わるのを待って、本郷さんは席を立つ。そして店の人が呼んでくれたタクシーに一緒に乗って家に帰った。