過保護な妖執事と同居しています!
16.東風(こち)吹かば



 金曜日の業後、私は再び本郷さんと待ち合わせをした。今度は会社から少し離れたカフェで。

 本郷さんにとってはいい話ではないのに、食事をご馳走になるのは気が引ける。夜に友達と約束があることにして丁重にお断りした。

 結婚を断ることは初めから決めていた。そして会社を辞める覚悟もできた。まだ三十前だし、五年間の営業事務実務経験がある。景気も上向いてきてるし、再就職はなんとかなるだろう。

 私は待ち合わせのカフェでコーヒーを注文し、席に着いて本郷さんを待った。



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