少女狂妄
「美緒さん、今年でいくつになるんでしたっけ?」

「まさか忘れちゃった? 今年で、二十三歳よ」

「そうですか。俺は、次で三十三になりますよ」


 男の言葉に、女はまた笑う。


「なんの冗談? 確かに裕二くんは若く見えるけど、その見た目で実年齢がそんなわけないじゃない。去年はまだ、お酒も一緒に飲めなかったのに」


 女が言う通り、男は自分で言った年齢よりも若く見える。

 しかしそれは、まだ三十路前だと言っても通じるというだけでしかない。

 女が言うような二十歳ととして、通じるような風貌ではない。

 それは、女も同じだ。

 二十二歳と自称すれば、誰もがサバを呼んでいるとしか思わないだろう。

 もう少しマシな嘘を吐けと。

 どんなに若く見繕っても女は二十代前半にはならず、三十代前半にしかならない。
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