少女狂妄
「ゆっくり話したいんですけど、今日はもう帰らないと」
名残惜しいけれど、このままここに残っているとボロが出そうだった。
私がどうかしてしまったことを、一年前とは比べ物にならないぐらいどうかしてしまったことを、日向さんに知られたくない。
「そうだね。……俺はよくここにいるから」
「はい、またお会いしましょう。借りてたマフラーも、返しますね」
一年前と変わらないピーコートを着た日向さんは、マフラーを巻いていない。
「長く借りっぱなしで、ごめんなさい」
「ううん、気にしないで。ありがとう。またね」
またねの言葉に胸が温まる。
私は頭を下げて、日向さんの前から立ち去ろうとする。
でも、踵を返した瞬間に日向さんが私の背中に言った。
「朱音は――――俺の妹だよ」
心臓を射抜かれた気がした。
名残惜しいけれど、このままここに残っているとボロが出そうだった。
私がどうかしてしまったことを、一年前とは比べ物にならないぐらいどうかしてしまったことを、日向さんに知られたくない。
「そうだね。……俺はよくここにいるから」
「はい、またお会いしましょう。借りてたマフラーも、返しますね」
一年前と変わらないピーコートを着た日向さんは、マフラーを巻いていない。
「長く借りっぱなしで、ごめんなさい」
「ううん、気にしないで。ありがとう。またね」
またねの言葉に胸が温まる。
私は頭を下げて、日向さんの前から立ち去ろうとする。
でも、踵を返した瞬間に日向さんが私の背中に言った。
「朱音は――――俺の妹だよ」
心臓を射抜かれた気がした。