可愛くないって言わないで!!
「意味わかんないし! 沙弥のことばっか考えてんのはアンタでしょ!?」
「変な言い方すんな! 俺は別にアイツのこと考えて言ってんじゃねえよ!」
「どこが!? 沙弥が大事だから小津くんにあんなこと言ってるくせに! あたしのことだってムカついてんでしょ!?」
「ああそーだよ! お前見てるとムカつくんだよ!」
ぐさり。
そんな音が聴こえた気がした。幻聴だ。
コウの言葉がそのまま刃みたいになって、胸に刺さった。
自分で言うのはいいけど、実際コウに言われると……キツい。
「お前もうちょっと周りよく見ろ!」
「わ……わけ、わかんないんだってば。あたしのことがムカつくなら放っておいてよ! バカコウ!」
「バ……っ!? あ―もう知らねえ! 好きにしろ!」