可愛くないって言わないで!!
思い出したら顔がにやけた。
だってだって! あれはちょっとイイ感じだった!
なんか興奮して胸がいっぱいになっちゃって、夜眠れなかったし!
「うーわ。お姉ちゃんが変な顔してる」
「変な顔!? あたしはいつでも可愛いでしょ!」
「あーはいはい。そーですね」
「その反応可愛くなーい!!」
ぎゃあぎゃあ道端で言い合っていたら、
うしろからタッタッと誰かが走ってくる音がして。
振り返る前に、声がかけられた。
「藤村! はよっ!」
藤村はあたしの苗字だけど、
挨拶されたのはあたしじゃない。
真子だ。
さらっさらな髪の、綺麗な顔立ちの男の子が、真子を見て笑っている。
なんて朝にぴったりな爽やかな笑顔。
この子絶対、将来かっこよくなるな。
「宇野くん……!」
上ずった声を出した真子の顔は、真っ赤だった。