可愛くないって言わないで!!
転入
朝からお母さんは、落ち着かない様子であたしの回りをうろうろうろうろ。
心配してくれるのはいいけど、さっきから同じようなことばっかくり返してる。
「いい? 新しい学校では、なるべく大人しくしているのよ」
「うん」
「何かあったらすぐにお母さんに言うこと」
「はーい」
「男の子とはなるべく話さないで、女友だちを大事にしなさいね」
「わかったわかった」
「それから……」
まだあるの!?
あたしはいい加減うんざりして、玄関の扉をあけた。
「ちょっと真衣!」
「行ってきまーす!」
お母さんの声は聞こえなかったことにして、外へと飛び出した。
お母さんが心配するのもわかるけど、いくら気をつけたってムダなんだよ。
だってあたしが誰より可愛いのは、
どうしたって変えられない事実なんだから。