可愛くないって言わないで!!

転入




朝からお母さんは、落ち着かない様子であたしの回りをうろうろうろうろ。


心配してくれるのはいいけど、さっきから同じようなことばっかくり返してる。



「いい? 新しい学校では、なるべく大人しくしているのよ」


「うん」


「何かあったらすぐにお母さんに言うこと」


「はーい」


「男の子とはなるべく話さないで、女友だちを大事にしなさいね」


「わかったわかった」


「それから……」



まだあるの!?

あたしはいい加減うんざりして、玄関の扉をあけた。



「ちょっと真衣!」


「行ってきまーす!」



お母さんの声は聞こえなかったことにして、外へと飛び出した。


お母さんが心配するのもわかるけど、いくら気をつけたってムダなんだよ。




だってあたしが誰より可愛いのは、

どうしたって変えられない事実なんだから。



< 2 / 289 >

この作品をシェア

pagetop