可愛くないって言わないで!!
「あたしでさえ、下見のことで嘘つかれてたって知ってちょっと傷ついた」
「ごめんなさい……」
「それは別にもういいけど。コウは絶対、あたしよりずっとずっと傷ついたよ」
震える沙弥の白い手を、そっと握る。
沙弥は泣いていた。
ぽろぽろぽろぽろ、涙を流して泣いていた。
泣いていいんだよ。
無理して笑ってなくていいんだよ。
無理されたら、あたしもコウもつらいよ。
泣いてたらなぐさめるから。
一緒になって泣けるから。
だからもう、嘘なんてつかないで。
そのままの沙弥でいてよ。
「帰ったら……光太郎に、ちゃんと話す」
「うん」
「それで、ちゃんと謝る」
「うん」
涙の止まらない沙弥を抱きしめた。
沙弥の片想い、応援するよ。
そう囁いたら、少しだけ、笑顔を見せてくれた。