可愛くないって言わないで!!


コウはそんなことはもう忘れたのか、


不満そうに唇を尖らせた。



「俺が手ぇ早かったら、宗介なんてもっとボコボコになってんぞ」


「やめろ。俺は暴力は嫌いだ」


「だったらそのムカつく性格直せ」


「なに言ってんだ。俺の性格イイだろ?」


「イイ性格の間違いな!」



呆れた。

すっかり元通りだ。



男子ってほんと単純でうらやましいくらい。




昼休みになると、コウは隣りの教室に向かった。


沙弥と話をしに行くんだろう。



ちょっと心配だけど、邪魔しちゃ悪い。


でも教室にいると小津くんにからまれるから、あたしは進路指導室に逃げ込んだ。




せっかく志望校も決めたんだし、入試についての資料もらおう。


この県の入試がどういう系統か見ておかないと。



ランクを無理やり上げて受けるんだから、死ぬ気でやんないとだめだ。

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