可愛くないって言わないで!!
「そんなのは、いや……」
か細い声でそう言った沙弥。
あたしはうれしくなった。
やっと、沙弥が素直になってくれた。
自分の中に押しこめ続けた片想いを、ようやく……。
「だから沙弥、ミスコンで優勝しよう」
「え?」
「ミスコンで優勝して、清水先生にほっぺにちゅーしてもらおう」
ぼっ!
そんな効果音が聞こえてきそうなほど、沙弥の顔が一気に赤く染まった。
さっきの実行委員の男子より過剰な反応。
思わず笑っちゃった。
「そ、そんな、いきなり……」
「そんなきっかけもないと、沙弥素直になれないんじゃないの?」
「で、でも……」
「最後なんだよ。がんばりなよ」
沙弥はしばらく迷ったあと、
小さくこくんとうなずいた。
ああ……よかった。
あとは、あたしがいま以上に思い切り嫌われるだけだ。