可愛くないって言わないで!!
「だめ!」
あたしは思わず叫んでいた。
「ああ? なんでダメなんだよ!」
「だ、だって! コウが出たって優勝なんかできるわけないし!」
「てめえ……俺をナメてんな?」
コウが口元をひくつかせてあたしの頬を引っ張ってきた。
い、痛いっ! 伸びる!
「ほぉ! ひはい!」
「俺はこれでも結構モテんだよ。ぜってぇ優勝してやる」
「へえ。光太郎、俺に勝つつもりか」
小津くんが挑戦的にコウを見て笑う。
コウも受けてたつように笑った。
「ミスターの座から引きずり降ろしてやる」
「やれるもんならやってみろ」
な、なにこれ……。
あたしはただ、沙弥の恋を応援する為にやっただけなのに。
男の男の戦いが脇で勃発してるんですけど。
沙弥と目を合わせて、あたしたちは首を傾げるばかりだった。