可愛くないって言わないで!!




明野小学校は、想像してたよりきれいな学校だった。


ちょっと小さいけど、うちの中学校より新しい外観。



「で? お前は何の用があるんだよ?」


「ちょっと売られたケンカを買いに」


「はあ?」


「先入ってるね」



コウが自転車を停めてる間に、あたしは小学校の玄関に入った。


来客用のスリッパを見つけてはきかえる。



「おい、待てって!」


「コウは戻ってていいよ」


「ああ?」


「送ってくれてありがと」


「おい、真衣」




手を振って、コウを置いて校舎の中を進んだ。


ひんやりと冷えて静かな廊下。



今日は月に1度の土曜授業の日だってお母さんが言ってた。

たぶんいまは帰りの会をやってる頃。



真子は今日もお腹が痛いって言って、部屋から出てこなかった。



お母さんがすごく心配してた。


あたしが前引きこもってたことを思い出したんだと思う。

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